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  • 吸入酸素濃度
  • 酸素流量

吸入酸素濃度に応じたデバイスの選択

酸素療法デバイスには様々な種類があります。デバイスによって使用できる酸素流量や吸入酸素濃度(FiO2)が異なるため、それぞれの特性を理解して患者さんの状態に合ったデバイスを選択することが大切です。

デバイスの選択に迷ったら、こちらの「10分でわかる!酸素療法デバイスの基礎知識」(無料ダウンロード)も是非あわせてご覧ください。

医学的監修

公立陶生病院 
呼吸器・アレルギー疾患内科/救急部集中治療室

横山俊樹 先生

各デバイスの吸入酸素濃度の目安は?

酸素療法のデバイスは、「酸素化を維持するためにどのくらいの酸素濃度が必要か」を基準に選択します。デバイスによって使用できる酸素流量や吸入酸素濃度の目安が異なるため、各デバイスの特性をよく理解した上で使い分けることが大切です。

酸素流量と吸入酸素濃度の目安

酸素流量少ない
低流量システム
酸素流量多い

鼻カニュラ

鼻カニュラ
酸素流量 吸入酸素濃度
1L/min 24%
2L/min 28%
3L/min 32%
4L/min 36%
5L/min 40%
6L/min 44%

開放型酸素マスク(オープンフェースマスク)

開放型酸素マスク(オープンフェースマスク)
酸素流量 吸入酸素濃度
3L/min 40%
5L/min 50%
10L/min 60%

簡易酸素マスク

簡易酸素マスク
酸素流量 吸入酸素濃度
5L~6L/min 40%
6L~7L/min 50%
7L~8L/min 60%

リザーバシステム

リザーバ付酸素マスク

リザーバ付酸素マスク
酸素流量 吸入酸素濃度
6L/min 60%
7L/min 70%
8L/min 80%
9L/min 90%
10L/min 90%以上

(文献1より引用)

新たに低流量システムのデバイスに加わった開放型酸素マスク(オープンフェースマスク)は、マスクに大きな開口部があるため呼気ガスが貯留せず、従来のマスクより少ない酸素流量で使用できるという特徴があります。

呼吸不全に対する酸素療法デバイスの選択

型呼吸不全の場合

重症肺炎や急性呼吸促迫症候群(ARDS)、急性経過の間質性肺炎などの型呼吸不全には、SpO2を94~98%に維持することを目標に酸素療法を開始します。デバイスは使用しやすく認容性が高い鼻カニュラが第1選択となります。

酸素療法を開始してもSpO2の改善が十分に見られない場合は、酸素流量を増やします。鼻カニュラで酸素流量を6L/分に上げてもSpO2が94~98%に維持できない場合は、簡易酸素マスクなど高濃度の酸素が吸入できるデバイスに交換します。それでも十分な酸素化が得られないようなら、非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)など人工呼吸管理への移行を検討します。

型呼吸不全の場合

慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺結核後遺症の急性増悪などによる型呼吸不全では、SpO2を88~92%に維持することを目標にします。型呼吸不全の場合は、酸素化の改善だけではなく、換気状態を維持・改善する必要があります。そのため、SpO2だけでなく、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)やpHなども測定します。

基本的には鼻カニュラで酸素投与を開始しますが、呼吸性アシドーシスが悪化する場合はベンチュリマスクでFiO2を一定に管理することも検討します。それでも悪化するなら、高流量鼻カニュラや非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)などへの移行を検討します。

まとめ

  • 酸素療法デバイスは、「酸素化を維持するためにどのくらいの酸素濃度が必要か」を基準に選択する。
  • 型呼吸不全の場合は、SpO2を94~98%に維持することを目標に酸素流量を調整し、それに応じたデバイスを選択する。
  • 型呼吸不全の場合は、SpO2を88~92%に維持することを目標に酸素流量を調整し、それに応じたデバイスを選択する。
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【参考文献】

  • 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会, 日本呼吸器学会編, 酸素療法マニュアル, メディカルレビュー社, 2017

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