開発者の挑戦
挫折を成功に
変える力

技術開発部
2007年4月入社

T.T

Career Step

  • 入社のきっかけ

    幸せの瞬間を支える仕事。きっと楽しいだろうなと、ワクワク出来たんです。
    元々社会貢献度の高い医療機器メーカーを志望。看護師だった知人が「(医療現場で)信頼されているすごくいい会社」と教えてくれた。「産科は病院で唯一、病気ではない人が来るところ」と聞き、なるほどと。この会社ならどんな部署へ配属されてもやりがいのある仕事が出来るだろうなと感じた。
  • 1年目

    初めての仕事は製品の一部分「フットスイッチ」の開発から
    分娩台の高さや傾斜を調節する「フットスイッチ」という、足で踏むリモコン部分の開発を約1年間担当する。
  • 2年目

    上司の「ちょっとやってみてよ」から新製品の開発担当に
    赤ちゃんの心肺蘇生を促す製品「レサシ フロー」を担当する。
    この頃から「呼吸療法」の分野にかかわる開発に携わるようになる。
  • 4年目

    アトムメディカルに前例の無い新製品、医療用加湿加温器「ステディーエア」の開発に着手
    アトムメディカルの新たな分野への挑戦として、新しい治療法として流行の兆しがあった「ハイフローセラピー」に特化した製品の開発をスタートする。
  • 10年目

    試行錯誤を繰り返した「ステディーエア」がついに発売
    様々な課題を一つひとつクリアし、ようやく「ステディーエア」が発売される。
    この経験をもとに現在、呼吸療法の分野に役立つ新製品の開発を目指している。
  • Q1 入社して気付いたことはありますか?

    研究開発は地道な作業でした。
    でもその地道さを経ないと
    革新は生まれないんです。
    はじめの1、2年は覚える事が多く、一日中技術室にこもって、設計業務や試験を繰り返す日々でした。目の前の事をやっているだけであっという間に時間が経って。入社前に思い浮かべていたような、楽しげなイメージとは違って泥臭い世界でしたね。でも、その泥臭さが開発には重要なんだなとも肌で感じていました。
  • Q2 これまでの研究開発の過程で、学んだ事や苦労した事があれば教えて下さい。

    商品化のむずかしさを痛感しました。
    入社4年目の時に、加温加湿器をゼロから開発するプロジェクトチームに配属されました。アトムメディカルは保育器では国内トップシェアを達成しているんです。そこで他の分野でも事業を強化しようと、新しい試みがスタートしたんです。
    ちょうど、海外の展示会に行ったメンバーから「ハイフローセラピー」という新しい治療法の情報が入ってきたんです。患者さんの呼吸を楽にするために鼻から高流量で酸素を投与する治療法で、当時海外ではスタンダードな治療法として確立されつつあり、日本にもすぐにその波がやってくる、という事でした。
    ただ四六時中、乾燥した酸素を吹き付けられると、患者さんは苦痛です。気道粘膜が損傷しちゃったりするので、加湿してあげないといけないんですよ。そこで、この治療に特化した加湿加温器を開発しようという話になりました。
    僕は機械関係全般を任されて。なんとか成功させようと、設計と試作を繰り返しました。約2年弱だったと思います。ある程度の形になりました。でも試作品を医師や医療現場の皆さんに見て頂く中で、致命的な使い勝手の悪さが見えてきました。「売れる製品にするために“飛び出た” 何かが無くては」と考え、かなり奇抜な方式を採用していたのですが、それが完全に裏目に出てしまった形ですね。
    もっと早い段階でユーザーの声に耳を傾けることができていれば、と悔しい思いをしたことは今でも忘れられません。プロジェクトは中止するか否かの岐路に立たされ、発売の最適時期も逃してしまいました。精神的にもずいぶん落ち込みましたね。
  • Q3 反対に上手くいった事、成功談があれば教えて下さい。

    新製品開発に成功しました。
    先ほどの挫折の続きになりますが、プロジェクトは奇跡的に継続されることになったんです。
    もう失敗は許されないという状況の中、以前の構造を根本から見直し再スタートすることとなりました。まずは徹底的に他社の製品を調査して、良い所と悪い所を洗い出していきました。で、次は使う側ですね。病院に足を運び、先生、医療現場の皆さん、患者さんの声を聞いて、ポイントを更に絞り込んでいって。そうした中でだんだんと「攻めどころ」が見えてきました。その後は使う側の立場に立つことを常に意識して設計を進めていきました。他の製品群と異なり成人用の製品でしたので、自分自身や会社の方々にも実際に装着してもらいながら仕様を煮詰めていきました。
    そうして完成したのが「ステディーエア」です。最大の特徴は患者さんに優しい鼻孔カニューラ。既存自社製品において在宅酸素療法で培ったノウハウを生かし、他社には無いフィット感や快適性を実現しました。これを含めたいくつかのポイントで他社に秀でた独自性を出しました。高機能かつ優しさを追求した試作品は、病院の先生からも高い評価を得て、とんとん拍子で製品化していきましたね。開発スタートから数えて5年、ようやく市場に送り出せました。この年月は単純に期間ではなく、密度の濃い時間でした。試行錯誤の連続で何度も諦めそうになりましたが、だからこそ製品が医療現場で使われている姿を見るのは嬉しかったですし、患者さんから「今までのものよりこっちの方が良いよ。ありがとう」と言ってもらえたときは、苦労が報われた気がしました。
  • Q4 アトムメディカルの技術の仕事は、他社と比べてココが違うと思う点はありますか?

    企画から生産まで
    一人で手掛ける範囲が
    多岐に渡るところです。
    開発担当者が手掛ける範囲は広く、企画、設計、試作組立、検証、量産立ち合い、量産後フォローまでと僕達はほとんどの部門の人と関わるんですよ。大変な事もありますけど、みんなでやってる一体感を感じます。大手の企業にはない事だと思いますね。それから、話をきちんと聞こうっていう姿勢の人が多い。聞いて一緒に悩んでくれる。とてもいいところだと思っています。部門間の垣根が低くて何か不具合があると「しょうがないな」って言って助けてくれますしね。
    僕はやっぱり“技術屋”なので、自分で考えて、手を動かして作ったモノがちゃんと動くと、シンプルですけど、これがすごく楽しい。今回のステディーエアの開発で実感した事ですが、製品開発にはお客様である医療従事の方や患者さんの声がとても大事で、最近は直接聞ける機会も増えているんですけど、目には見えない、本人も気付いていないお困り事って結構あると思うんです。それを何とか引き出して、解決出来る開発者でありたいですね。

学生さんへのメッセージ

自分の手で何かを作りだす事に、喜びを見出せる人が向いていると思います。業務が細分化されていないので、この工程が大変だと思っちゃうより「自分で生み出したぞ!」って楽しめる人がいいですね。最初は研修やOJTがあるので医療分野に特化した知識がなくても大丈夫です。その後も外部セミナーや研修カリキュラムの受講など、医療技術者として成長するチャンスがいくつもあるので安心して下さい。

T.T

子供時代

小さい頃から作ることが大好き

小さい頃から目覚まし時計を分解したりしていたらしいです。プラモデルやラジコンとか自分の手で何かを作って、動かす事が大好きな子供でした。

あなたの勝負アイテムを教えて!

パワーの源は愛妻弁当

落ち込んでいる時でも、食べると元気が出ます。蓋をあけて唐揚げが入っていると嬉しいですね。妻は看護師をしていて忙しいのにいつも感謝しています!